情報を共有し、自立支援はケースバイケースで!

平成30年度の介護保険法改正の際に、目標の一つとして挙げられたのが、自立支援や重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現だ。今後日本社会の高齢化はさらに進行し、2025年には団塊の世代の多くが後期高齢者になると言われている。そのため、これまでの介護保険法でも自立支援を重要視してきたが、今回の介護保険法改正ではさらに対象者の自立支援を促進するため、新たにアウトカム評価が導入されることになった。

アウトカム評価は対象者の状態がどの程度維持改善されたかを図る指標であり、アウトカム評価の内容によっては、事業所の報酬が大きく変わってくる。したがって、今後はより積極的に自立支援を促すことが介護業界には求められるだろう。

しかし、サービスを提供する際、大切なのは介護を受ける本人の状態をしっかり把握することだ。例えば、自立支援に即して部屋の掃除を行う場合、できるだけ利用者に掃除を行ってもらうべきだ。ヘルパーは環境整備や利用者ができない部分の手伝いなど、あくまで掃除の補助が中心にならなければならない。しかし、利用者が自立していくということは、それだけ行動範囲が広がるということを指す。もし、身体機能が安定しない状態にあっても無理に自立を促すと、転倒などのリスクを伴い、さらなる悪化につながる可能性もある。悪化を防ぎ、状態を改善するためには、自立を促すことも重要だが、それぞれに合ったサービスを提供していくことが必要だ。

そのためには、介護サービスを提供する事業所をはじめ、医療機関やケアマネジャーなど、関係機関同士が連携を取っていかなければならない。そして、各利用者に最適な自立支援を提供できるように、こまめに情報共有を行っていくことが求められる。